2024年1月20日 雨季のシンガポール Singapore Cruise Centerに停泊中の独立行政法人 海技教育機構の大型帆船日本丸にシンガポール駐在同窓生5名で、乗船中の実習生へ激励のため訪船しました。
 当日は生憎前日から降り続いた雨が止むことなく、岸壁も日本丸ご自慢のチーク材が張り巡らされた甲板も雨に打たれるコンディションの中、同窓生一同は日本丸が着桟している岸壁に向かう前から、年甲斐もなく高揚感で口数も多くなり、客船ターミナルから舷梯まで同窓である熊谷次席一等航海士がエスコートのもと、舷梯では藤江船長をはじめ、士官の方々が出迎えて下さりました。
 乗船後船内客室に通され、船長より昨今の日本丸のおかれる状況での訓練や教育の取組、今航海の予定など説明を頂きました。数年前の日本丸で発生した実習生の転落事故を受け、未だ帆走作業や登檣礼といった帆船ならではの作業・訓練が再開されていないという事に心が痛みました。その為、現在では士官や部員の技術継承の為にFore Mastに取り付けられた2枚のセール以外は取り外され、今航シンガポールにも機走のみの航海とのことでした。
 その後、船内教室で待機された実習生と面会し弓削商船同窓生を代表し、航海科67期(高専2期) 赤尾良一氏自身が数十年前旧日本丸に乗船し初めて外洋に出た際に台風に直面した話、日本・シンガポールの海運界としての役割、練習船での貴重な経験をお話しされる姿を実習生は皆背筋を伸ばし、食い入るように聞いていました。最後に、努力は必ず報われるという実習生のみならず、我々も気が引き締まる激励の言葉をいただきました。
 今回訪船した際には甲板をヤシの実で擦ったタンツーやロープを力の限り引っ張ったあの日の事が、つい昨日の事の様に甦ってきました。実習生に激励を送る為の訪船でしたが、訪船した我々が実習生の生き生きとしたあの眼差しに、そして何より若かりし頃の思い出がビッシリと詰まった日本丸に勇気をもらった訪船となりました。今回の訪船にあたり御対応いただいた日本丸船長はじめ乗組員の皆様、一般社団法人 全日本船舶職員協会様、海技教育機構 JMETSの皆様並びに同窓生諸先輩方にこの場をお借りして御礼申し上げます。

星港弓削商船同窓一同

【日本丸遠洋航海 概要】※()は、女子実習生の内数
実習生:富山高等専門学校20名(7名)、鳥羽商船高等専門学校22名(4名)、大島商船高等専門学校17名(1名)、広島商船高等専門学校20名(6名)、弓削商船高等専門学校20名(1名)

【訪船者】
 N67 高専2期 赤尾良一
 E54 高専18期 倉本博史
 N88 高専23期 天間史明
 E67 高専31期 金子大輔
 N97 高専32期 村上豊